日本グランプリを観戦してチケットをなくした話─F1日本GP2023観戦記

はじめに

 自分の備忘録も兼ねて今年の日本GPの観戦記を書くこととした。他の場所でわかることは端折ることになるので個人的な行動の記録がメインとなるが、移動時間などの参考になれば幸いである。7000字オーバーでめっちゃ長いのでタイトルの話の顛末を知りたい人はDay1 ???編まで飛ばそう!

Day-? 準備編

 昨年初めて日本GPを観戦した時の経験(昨年はチケットこそ早々に抑えられたものの宿争奪戦に敗北、岐阜駅前という行き帰りだけでかなりの消耗を強いられる場所に滞在せざるを得なかった。)を活かして今年は早めに宿を取ることにしたので4月に名古屋の東横インを確保。正直もう少し近め(今回泊った東横イン名古屋駅からはやや遠い)の場所があった気もするがF1期間とは思えない値段で宿泊できるので良しとする。

 しかし、いくら宿が盲点といえど最も大切なのはチケットの確保である。来たる決戦の日は5月8日、私と連番予定の友人はこの日のために綿密な連絡を取り合い作戦を立てた。余談だが複数人でチケットの予約をする際は予め狙う席を決めた上で通話などでコンタクトを取りながら行動するのがオススメだ。

 今回狙うのはS字が上から見下ろせるD席の比較的C席よりの区間オーバーテイクなどは狙えない一方で鈴鹿の醍醐味とも言える高速コーナーの挙動を満喫できる。正直かなり人気の席のため大変な戦いになることも予見されたが、友人が無事早めの待ち番号を引き当ててくれたため、D席Aブロックの中段付近を確保することに成功。理想としていた場所とほぼ一致の席で観戦できることになりひとまずホッとしたところで大まかな準備編は終了、ここから半年弱は日本GPのことをほぼ忘れてすごすこととなる。

(自分の理解が正しければ今年の抽選方式は端末、ブラウザを大量に用意して若い番号の抽選を当てるのが優位に立つ前提条件である。来年も同じ方式なら参考にされたし。)

Day0 木曜日編

ピットウォーク編

 F1の正式なDay1は金曜日である。しかし実際には木曜日からピットウォークなどのイベントが行われる。ピットウォークに参加したいという友人の希望で木曜日から参戦を決めたものの、このピットウォークがなかなかの曲者である。何故かと言うと時間が9時開始ととにかく早いのである。関東圏からでは場所によっては始発を駆使しても間に合わせることは厳しい。我々は前日に予定が入っていたため前泊も厳しいことから夜行バスをチョイス。鈴鹿に向かうっぽい人は車内には特にいなかった。注意点としては、ホテルに荷物を預けたりしていたらなんだかんだ時間がなく朝食にありつけなかったので、荷物を預ける時間は考慮する必要がある。(コインロッカーを利用する場合も埋まっていて他のコインロッカーをさがす時間を考慮すべし)

 ピットウォークには今年が初めての参加となったが非常に面白かった。車両の設営を行っているチームのピットを見るのはもちろんだが、細かい備品を観察したり、コースウォークに出るドライバーにサインをもらったりといった点も醍醐味である。また、チームによっては観客の中から特別にピットに招き入れ記念写真を撮るなどもしていたが、この招き入れられる基準はあまり良くわからない。また、プレゼントを渡したりする人もいたりするので「おお、〇〇のガチ勢だ...」みたいなファン側を観察するのも地味に楽しい。

ウィリアムズのピットに並べられるカウル、ガルフカラーはTVで見るよりカッコいいぞ

 我々はざっと全チームを見た後でピット入り口付近でサイン待ちをしている人の列に加わることに。動線からはやや離れていたためサインをもらうことはできなかったが、コースウォークから帰ってくるサージェント、周、ピアストリの姿を拝むことに成功。この中だとサージェントが一番丁寧に対応していたので個人的な好感度UP。

サインをするサージェント

BUZZ-IN Corner編

 木曜日の公式イベントとしては以上で終わりなのだが、16時からベッテルが2コーナーで全ドライバーを集めてセレモニーをするということでそれまでグランプリスクエア周辺で待機することに。グランプリスクエアの物販などはすでに開いているため、ひとまず物販を物色。友人は鈴鹿サーキット限定アルファタウリTシャツを購入、自分は鈴鹿サーキット X Honda75周年Tシャツと角田Tシャツを購入。木曜日は流石にそこまで混雑しておらずじっくり選べるので物販目当ての方は木曜もかなり狙い目である。

観覧車から見る鈴鹿サーキット、初めて乗ったが以外と楽しい

 その後観覧車に乗ったり1500円のフェッラーリを飲んだりしていたらなんだかんだ16時前になったのでBスタンド1階に移動。周囲を見ると日陰を中心にそこそこ人出があり、やはりベッテルファンが多いものの他チームファンも見られる。16時過ぎごろからドライバーたちが移動してくる。自転車で移動してきたフェラーリの二人、キックボードで移動してきたメルセデスの二人が先着すると大きな歓声があがる。他のドライバー組はマイクロバスに相乗りで到着、ドライバー同士で談笑する姿なども見られ、テレビの前の人の実在を確認する。写真撮影の後激感エリアに移動し、ペンキでお絵かきタイムに移行。公式イベントでは無いためアナウンスは行われず、観客側は「〇〇してるっぽい?」みたいな漠然とした空気が漂っていた。一通り撮影などを終えるとベッテル以外のドライバーは再びバスでピットへと帰っていった。ドライバーによっては手を振ってくれるがややスタンドから遠い場所のため歓声は到着時ほどは起こらず。

 ベッテルはまだなにか撮影を行っていたがホテルのチェックインの時間を考慮して17時ごろにその場を離れることに。A席付近を歩いているとキックボードに乗ってピットアウトしてくる人影が。よく目を凝らすとラッセルだった。ここぞとばかりにクソデカボイスで「ジョージ!!!!!」と叫んだら手を振り返してくれた。はい今個人ファンサ入りました、こんなんナンボあってもいいですからね。19時ごろにホテルに到着、夕食にはモツ煮込みうどんを食べる。

モツ煮込みうどん、ベースは味噌煮込みうどん

Day1 金曜日

FP1編

 7時過ぎにホテルを出発、白子駅からバスに乗るが流石に金曜日、そこまで行列は長くないため30分前後程度でバスへ乗車成功。写真のexifを確認すると10時頃にメインゲートに到着した模様だ(他人事)。

 金曜日は自由に見る場所を選べるのでまずは西コースから回ることに。まずFP1開始はスプーンコーナーから。西コースの最果ての名にふさわしくグランドスタンドからは30分〜かかるのが注意ポイントだ。余裕を持って出発したはずだが到着はかなりギリギリになった。コンクリートブロックが並べられているので開いているスペースの一つに陣取る。すでに多くの人が座っており、辺境といえど賑わいが感じられ流石はF1である。

 スプーンコーナーはランオフが大きく、迫力にはやや欠けるものの車両の挙動や音を上からじっくり楽しめる。メルセデスが特に快音を響かせていたのが印象的だった。15分程度でスプーン入り口側を横目に見ながら200Rへ。200Rは金網こそ2重だがマシンと同じレベルで観戦でき、速度感と迫力はピカイチでまさにスプーンとは対極と言える。昨年までは通路に目隠しをして観戦できないようにされていたが今年は目隠しが外れ観戦できるようになっていた。あくまで通路だがそれなりの人数がフェンスに張り付き観戦していた。

 ムサシシケインを横目に見ながらヘアピンが見えるI席へ。ヘアピンは鈴鹿屈指の低速コーナーということもあり、最前列のカメラマンエリアはもちろん、スタンドも多くの観客がカメラを構えている。I席は席名こそ「ヘアピンスタンド」だがデグナー出口から見えるのでマシンが見える時間は短くない。名前の印象よりもバリエーション豊かな楽しみ方ができるので個人的には結構オススメポイントだったりする。セッション終了間際に少し雨がパラパラと降ったものの、ウエットタイヤを導入するほどは濡れず。

ヘアピンを立ち上がるレッドブルのマシン

FP2編

 FP1は西コースだったので東コース側へ移動。ピットアウトが見えるA席から観戦開始。グランドスタンドと違って高さは無いため金網は躱せないが、迫力はかなりのものがある。位置的には2コーナーも見えるかと思ったがスタンドが低いため、実際には2コーナーはほとんど見えなかった。サーキットビジョンがあるため状況の把握は容易。金曜日とはいえかなり多くの人が詰めかけており、席を探すのも一苦労だった。

レッドブルウォッカ、美味X美味の悪魔の飲み物

 20分ごろ観戦した後、2コーナー立ち上がり側のC席へ移動。コースに沿って横に長い石なのでC席の中でも見え方が変わることが特徴だ。1コーナー近くの席ではランオフが少なく比較的迫力がある一方で、S字近くの席では席とコースの間に芝生のランオフが大きくやや迫力では劣る印象を受ける。とはいえ、決勝ではレッドブル・アルファタウリ応援席となるため見え方よりもレッドブルを応援したいという理由で選ぶ人が多いだろう。A席ほどでは無いものの、それなりに人は入っており特に2コーナーアウトの金網の切れ目の延長線上にはカメラを構える人も多い。

2コーナーを立ち上がるフェラーリ、観覧車まで見渡せる

???編

 この日は他にもトークショーなどあったが、グランプリスクエアに到達した時はすでに人がびっしりといたため諦めて名古屋へ帰ることに。昨年は金曜日でも稲生は相当の混雑だったことから白子行きのバスを選択、1時間弱の待ち時間で白子駅へ。

 しかし、白子駅に到着してバスを降りた時にあることに気づく、そう、無いのであるチケットを入れたチケットケースが。以前別のイベントでもらったケースに入れていたはずのチケットがどうケースごと無くなっているのである。以下、その時とった行動。

 ①三重交通中勢営業所に電話(バスの中で落としたかもしれない、と伝えたのが伏線)

 ②近鉄落とし物センターに電話(一応駅に届けられたかもしれないので...電話繋がらず)

 ③鈴鹿サーキットに問い合わせ(時間外で繋がらず)

 以上の3つを試したものの決定だには至らず、他にできることもないため名古屋に帰投した。(その他友人がXで呼びかけてくれていた、協力してくださった方本当にありがとうございました。)この日は遅くなったし正直外食する気分にはなれないので、コンビニカップ麺で夕食を取り就寝。

Day2 土曜日

FP3編

 とにかくチケットが無いと始まらないので問い合わせるべくなるはやで鈴鹿着。出入り口付近のスタッフに顛末を相談したところ、パーク、サーキットにD席の落とし物は無いとのこと。さらに三重交通から電話がありバスの中には見つからなかったという連絡が。ダメ元で交番にも電話などしたが正直打開策が見つからず、鬱々とした気分で西エリア当日券を購入して入場することにした。正直痛い出費だしメンタル的には名古屋に帰って不貞寝の一つでもかましたいという考えもよぎったが、鈴鹿まで来て予選の一つも見ずに帰ったら後から後悔しそうという気持ちが勝ったので西エリアで観戦の流れに。(この間に角田の残留発表があったが素直に喜べず...)

 FP3はFP1で一度見た200Rイン側で立って観戦。ずっとスマホで動画を撮っていたが、正直ここで動画を撮るのはめちゃめちゃ難しい。なにせ280km/hで目の前を通過するのだ。見えてから反応していたのでは遅く、エンジン音が左側から聞こえてきた時点で録画開始する程度でようやくまともに撮れる。

予選編

 昼食は比較的空いていたヘアピン丼(焼き鳥丼)をサポートレースの実況を流し聞きしながら食べる。友人は流石に予選はD席で見たいとのことだったので、一度解散し自分は130Rシケインの間で見ることにした。正直消去法で選んだ席だったが、NIPPOコーナー出口〜デグナー入り口までの区間も小さいながら見えて思ったよりは楽しめた。一方で、スクリーンがほとんど無く展開の把握が難しい点や、シートや椅子などがないと地面に座らざるを得ない点などは流石に西コースといったデメリットか。また、自由席なので途中で移動が可能なのも特徴だ。Q2まで見てから少し130R側へ移動したが、座っている場所によって雰囲気が変わるのもまた興味深い。後から見たエリアの方が体感的には盛り上がっていた。

予選Q3を走行するレッドブルのマシン

 言わずもがな予選のハイライトは、角田の久々Q3進出となるアタックだった。各セッションで角田の順位が出るたびにスタンドからは大きな拍手が起こっていたのが印象的だった。(スピーカーの位置が悪く時間帯によってはほとんどアナウンスが聞こえなかったが)観覧車の下のベンチで友人と合流し、この日は平田町駅の経由で帰宅するルートを選択することに。

 平田町といえば、鈴鹿サーキットから約3km、伊勢若松駅での乗り換えが必要かつかなり長距離の行程ではあるが白子でも稲生でもない穴場ルートとして近年人気があるルードだ。我々以外にも多くのF1ファンが平田町へと歩くルートを選択していた。しかし、実は我々の狙いは更なるセカンドプランにあった。平田町へと向かうルートへの道中にある南道伯停留所から白子への路線バスを選択。昨年よりは混雑していたものの、停留所へ来た一本目のバスに乗ることができたので40分ほどで白子へ到着。電車の中で前夜祭の中継をみたりなどしつつのんびり普通で帰名、エスカで名古屋コーチン親子丼を食べて就寝。

名古屋コーチン親子丼、ラストオーダーギリギリだったがかなり行列が出来ていた

Day3 日曜日

 この日は午前中は特段イベントがなかったため11時ごろに到着するようにゆっくり入場。駐車場でバスを降りたところで気づいたのだが、そこに「落とし物」の文字が。正直ほとんど諦めていたのだがどうせだし...ということで長机に広げられた落とし物の一覧を見たところでケーブルなどにまざってあった。そう、あったのである、チケットの入ったチケットケースが。改めて考えると駐車場はサーキットではなく三重交通の管轄であり、そして三重交通に「バスの中で無くした」と言ってしまったため昨日の捜索の盲点となっていたのだ。2日ぶりに再開したチケットケースは紐が切れており、こりゃ落ちてもしょうがないよなぁ...という有様だった。

 ついに正規の席を取り戻した()ことでいよいよ決勝はD席で見ることとなった。さて、そのD席Aブロックだが、S字が上から見おろせるのはもちろんのこと、遠くに1コーナー進入も見えるなど想定以上に良席だった。2店舗のみだがさらにブロック内から出ずに帰る売店があり、お手洗いも近いなどホスピタリティも抜群。サーキットビジョンもかなり大きく見え展開の把握も容易にできる。おまけに電波の入りも悪くない。予選もここで見たかった......

1コーナー立ち上がり〜S字までが見渡せる

  決勝はF1 ZONEを見ながら角田のタイムを見てたのでどっちかと言うと我慢のレースという印象が強く残った。特にS字は角田がかなりペースが良くもう少しで抜けそうだっただけにスタンド全体が悔しい空気が漂っていた。印象に残ったのはワンストップの戦略を取ったラッセルと2ストップのルクレールのバトルだ。1コーナーのブレーキングでルクレールが並びかけるもラッセルが粘り、2コーナーでサイドバイサイドで並んで立ち上がった。アウトサイドに出された格好のルクレールだったが、縁石目一杯まで使ったルクレールがフレッシュなタイヤを活かしてオーバーテイク。一部始終が見えたスタンドからはこれには大きな拍手が沸き起こっていた。

決勝レース終盤、角田はローソンに迫るがオーバーテイクは出来ず

 昨年は表彰式まで見ていたが、今年は早く帰るためにウイニングランまで見送った後でさっさと退場しようと予め決めていたためいち早く退席。昨日と同じく平田町までの道程にあるバス停から白子まで移動した。土曜日と同じ南道伯ではバスに乗れない危険性という可能性があったため一つ前の北道伯から乗ったところ、19時前後には名古屋駅に到着することができたのは帰宅グランプリとしは上々以上の出来といったところか。この日は名鉄百貨店きしめんを食べ、コンビニ酒で晩酌し就寝。

海老天きしめん、個人的にはもう少しボリュームがほしいが......

Day3+1 月曜日

 10時49分名古屋発ののぞみ88号で帰宅した。できるのであれば後泊すると翌日以降疲れが違うのでおすすめする。しかしこの日はめっちゃ遅く起きてやろうと思ったがホテルの朝食が早かったので思ったより寝坊できなかった。

終わりに

 いろいろあったが結果的には終わりよければ全て良しといったところで良かった点と反省点。来年は年度初めすぎてここまで大規模に行くのは流石に厳しいかなぁ......

◯良かった点

 ・ホテルの手配が早かった
 ・良席のチケットが取れた
 ・FP1-2で多くの席から観戦することができた
 ・帰宿の流れが昨年よりスムーズになっており、比較的早い時間に帰ることができた

✗反省点

 ・別イベのチケットケースを使った結果チケットを紛失した

 ・FP3も自由席と勘違いした結果東コースの自分の席以外で観戦できなかった

 

 チケットをなくした際の対応だが同じ境遇の方がいらっしゃったら以下の点に注意されたい。

 ※チケットの再発行はいかなる場合も不可

 ※サーキット、パーク、バス駐車場の落とし物の管轄は異なるのでどこで落としたかわかる場合はその場所を明確にしてスタッフに伝え、わからない場合は全部当たろう(特にバス駐車場の落とし物は鈴鹿サーキット側は一切感知していないと思われる)

 ※F1開催中でも鈴鹿サーキットの電話問い合わせはかなり早く閉まるので早め早めの対応を

 ※交番は電話でも遺失物の捜索願いができるが、見つかった場合はこちらから連絡が必要

来年は4月!!!